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焦る親の気持ち
あの頃、私は、娘が中途半端な人間になるんじゃないかという強迫観念があったような気がする。
時には怒り、時にはなだめ、時には修造のように熱く語り、とてつもない労力、気力を使った。
昭和に生まれ、育った私はこんな事でめげている娘が情けないやら悲しいやらで
どうにかしてやらねばと、気張っていたのだと思う。
剣道部を辞める時も、何故一度決めた事をやり抜けないのだと、何度も言った。
が、もう辞めるしかこの子を前進させる方法は無い、と諦めた。
- 「辞め癖を付けたくないのだ」
- 「すぐ逃げる人間になってほしくない」
と何度も言って、やめる事を認めた。
やっと辞められた事に、娘の顔は少し明るくなった。
心機一転クラス替え
2年になり、憑依されていた30点の子とも離れ、仲間はずれにされた子達とも離れ、
とてもとてもマジメなクラスの一員となった。
担任の先生も、1年の時の先生になり私も安心だった。
新しい先生だったら、もう一度最初から信頼関係を築く事が必要だと思っていたから。
部活も吹奏楽部に転部。
1年遅れているんだから、一生懸命頑張らないといけないし、これから譜面を読めるようになるにはかなりの時間が必要だろうと思い、私もやっていた、パーカッションで希望していたが定員いっぱいということで、アルトサックスに。
「なんてことだ、主旋律…」と、母愕然。
しかし、本人はどこ吹く風。「なんとかやれるっしょ」
他の事もそんな感じで受け流してほしいんだけど…。
マスクを付けっぱなし
1年の途中からずっとマスクをしている娘。
春も、夏も、秋も、もちろん冬も、ずーっとマスク。
何か顔に書いてあんの?と、思ってしまう程ひた隠しにするマスク。
顔だけじゃなくて、色んな事から逃げたくてマスクをしているように思えた。
色んな事から逃げている娘は、勉強なんてしやしない。
いやな事はやらない。
そんな生活していたら、保健室の住人になっていた。
「具合が悪いので、迎えに来てください」と、電話が来て保健室に行くと、
いつもの変わらないメンバーの中に娘。
同じような思春期特有の悩みやモヤモヤを抱えた中学生達。
み〜んなマスクしてる。
やっぱり下痢
ベッドから起き上がれない、一時間もトイレに籠もる。
下痢止めも効かない。
そして、学校を休む。遅刻する。早退する。
私はそれでも「行かなくていいよ」とは言えなかった。
言ってあげれば、きっと娘も具合が良くなったと思う。言ってあげれば良かったかな。
でも、剣道部を泣く泣く辞めさせた時、
「すぐ逃げる人間になってほしくない」と言った事。
それを思い出して欲しかったし、私もそれをずっとずっと考えていた。
担任の先生の力を借りながら、なんとか休み休み、学校へ行っていた。
でも、一番ツケが来るのが「勉強」
これがきつかった。
授業を受けない→遅れる→分からない→やる気でない→どうせやったって…
の、負のループ。
これは2年の終盤まで続く事になる。